桜の名所、福島県富岡町にオープン!〈BAUM HOUSE YONOMORI〉の樹望バウムで被災した町に活気を

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福島県富岡町の夜の森地区は、福島県を代表する桜の名所。
春は多くの観光客でにぎわう桜の町も、2011年3月11日に起きた東日本大震災後の津波による原発事故の影響で帰還困難区域に指定され、暮らしを営むことが難しい状況に。
2023年4月に同地域の避難指示が解除され、「以前のような活気をこの町に」と立ち上がったのが、今回のプロジェクトの第一人者であり、富岡町商工会会長・町議会議員を務めていた遠藤一善さん。
同地区の復興におけるバウムクーヘンの役割について、語ってもらった。

「バウム店の開業はビジネスではなく、“復興への一歩”だ」

温かみのある雰囲気の〈BAUM HOUSE YONOMORI〉店内

居住の規制がなくなったからといって、避難先で新しい生活を築いている元の住民がすぐに戻ってくるわけでもなく、BAUM HOUSE YONOMORIプロジェクトが動き出した頃は、富岡町の定住者はたったの2000人ほど。

「事業を再開している商店もほぼなく、他地域から通勤している人を慰労するみやげ品がない」

と遠藤さんが目を付けたのは、米粉のバウムクーヘンだった。

遠藤さんは、昔なじみであり、不二商会製オーブンのユーザーでもある〈バウムラボ樹楽里〉に、富岡町内の避難指示先行解除エリアで栽培されていた福島県生まれのお米〈天のつぶ〉のバウムクーヘンを製造してもらえないかと切り出したところ、

「樹楽里の当時の齋藤社長(現会長)に『被災したふるさとの復興のため、ということであれば、遠藤さん自身で町内に工房を設け、地域の農家とつながり、お米を自家製粉してバウムクーヘンを焼くことが、地域経済の活性につながる』とアドバイスを受け、不二商会さんを紹介してもらいました」。

原発事故の影響から運送会社の集荷・配達停止エリアでなかなか物資がそろわなかったり、避難指示の解除が当初の予定から遅れたりと、開業に至るまでの道のりは順調ではなかったものの、2023年8月4日(金)、地元の人のあたたかな拍手に包まれながらBAUM HOUSE YONOMORIがグランドオープン。

富岡町産のお米「天のつぶ」100%で作られるバウムクーヘンを求め、開店前から10人ほどが並び、商品が完売するまでゲストの出入りはひっきりなしだった。

就職で一時的には離れたものの、生まれ育った故郷の再興を心から願う遠藤さんは「初日は予想以上の売れ行きで大忙し。製造体制が確立できていないことに不安はありますが、たくさんの人に来てもらえるのはうれしいことです。BAUM HOUSE YONOMORIは儲け重視のビジネスではなく、復興のための取り組みですからね」とにっこり。

新たなお土産と雇用の場をつくり地域経済に活気を

オープン当初、製造体制が確立できていなかった理由の一つは“人手不足”だと遠藤さんは話す。

「今お店で働いてくれているパートスタッフは皆家庭があり、土日はどうしても働き手が不足します。

『子どもの面倒を見てくれる人がいれば土日も心置きなくシフトを入れられる』という声も聞きますし、店舗横にある住居もスタッフのために運用していきたいので、保育などの資格を持った人が常駐してくれると働きやすい環境が整いますよね。

こうして新たな特産品と雇用の創出により、BAUM HOUSE YONOMORIをこの町のにぎわいづくりの拠点にしていきたいです。

働く場も定住者も増え、当店の“樹望(きぼう)バウム”が地元の人の日常のお菓子になれば…そんなうれしいことはないですね」。

夜の森地区の桜並木

近頃は他県・他地域からの移住者も増えてきた富岡町。
避難指示の解除とコロナ禍に強いられた行動制限の緩和により、次の春は、桜の町にさらなるにぎわいが予想される。

東日本大震災の発生から来春で13年、希望にあふれた春はもうすぐだ。

―担当営業Sより

グランドオープンの日、遠藤さんは「あまりお客さんは来ないと思う」とおっしゃっていましたが、遠藤さんが休む暇もないくらいお客さまが来られていました。

初日の売上成績も良く、出だしは好調。
開業したばかりですが、復興に向け、BAUM HOUSE YONOMORIから“希望の輪”の広がりを感じました。

遠藤さんが課題の一つとして挙げた“人手不足”はBAUM HOUSE YONOMORIだけでなく、この先国内で深刻化が予想される社会的な問題です。
当社は“顧客に対する永続的なお役立ち”を大切に、省人化・省力化をテーマとしたバウムクーヘン製造機器の開発に取り組んでいます。

今回納品したバウムクーヘンオーブンも“無人焼成オプション”に対応した機種なので、遠藤さんと相談しながらご提案できればと思います。

不二商会とデザイン会社の協働ユニット〈フジデザインシステマ〉は“繁盛”をご提案し、最先端のオンリーワンバウムクーヘンブランドを構築。

オーナーやそこで働くスタッフの“本物の思い”が詰まったバウムクーヘンのレシピ開発や、動線重視の厨房・ホールの基本設計、目を引くパッケージのデザインとディスプレー、バウムクーヘンの焼成指導などトータルプロデュースし、製菓と無縁の企業の開業もサポートしている。

MACHINE

バウムクーヘンオーブン〈フレイヤ〉

従来機の約2倍の速さでバウムクーヘン3本-6本の焼成がかなう〈フレイヤ〉と、オペレーターなしで生地皿内の補充が可能な〈自動生地供給ポンプ〉を納品。

フレイヤの無人焼成オプションについてはこちらの動画をご覧ください。

富岡町産のお米「天のつぶ」は、小型気流粉砕機〈フェアリーパウダーミル〉を使用して厨房内で製粉。
お米に水分を含ませて製粉された“生米粉”はバウムクーヘンとの相性が抜群で、しっとりふんわり焼き上がる。

SPACE DESIGN

歯科医の趣が残る外観

元々遠藤さんの友人が経営していた歯科医院を、遠藤さんがバウムクーヘン専門店にリノベーション。

厨房内の機器一式やショーケースは、不二商会によるトータルプロデュース。

地元の人も移住者も気軽に集まれる憩いの場になれば、と設けられた団らんスペースからはバウムクーヘンオーブンの焼成シーンもよく見える。

BRAND&PRODUCT

復興への希望をのせたバウムクーヘンの商品名は〈樹望(きぼう)バウム〉。
味はプレーン ソフト・玄米 ハード・桜をそろえている。
プレーン ソフトと桜には〈天のつぶ〉白米、ハードには〈天のつぶ〉玄米の生米粉を使用。

富岡町民のシビックプライドの象徴でもある桜並木を想起させる〈樹望バウム 桜〉は、不二商会がレシピ開発。
ほんのり塩みも利いた桜もち風で、上品な味わいが楽しめる。

パッケージやロゴ、コンセプトなどのブランディングは、不二商会を中心とした協働ユニット〈FUJI DESIGN SYSTEMA〉が担当。
樹木をモチーフに、復興への思いが広がる様子を描いたパッケージは特に移住者から好評だと言う。

TRAINING

厨房スタッフは全員バウムクーヘンの製造経験がない、製菓初心者の女性。

不二商会の工房と、機器一式納品後の実際の店舗で〈自動生地供給ポンプ〉を使用しながら約7日間焼成トレーニングを実施。


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