2022.06.03 スイーツ 開業

武蔵小杉の人気パンケーキ店〈3 STARS PANCAKE〉のバウムクーヘンショップ〈MYSTAR BASE〉

地域の発展に貢献し恩返ししたい

再開発が進み、高層マンションや商業施設が林立する武蔵小杉。華やかなイメージの駅前から少し離れると、こぢんまりとした個人商店が並び、下町の風情が感じられる“裏小杉”エリアがある。
ここに、バウムクーヘンとスペシャリティコーヒーのショップ〈MYSTAR BASE〉が2022年4月5日にオープン。
新たなビジネスになぜ「バウムクーヘン」を選択したのか、オーナーのTさんに、不二商会の担当営業マンSが迫る。

技術がなくても扱いやすい
バウムクーヘンオーブンに魅力を感じて

Tさん(左)…元々昼は子ども向け体育教室のインストラクター、夜は銀座のレストランのアルバイト。ハワイ好きでパンケーキ店巡りを趣味とし、「スイーツで人を喜ばせたい」という想いから、独立前提で原宿にある人気パンケーキ店で修業。2016年12月に〈3STARS PANCAKE〉を開業し、現在に至る

S:早速ですが、今回バウムクーヘンビジネスを始めようと思ったきっかけを教えてください。

T:武蔵小杉で経営しているパンケーキ店〈3 STARS PANCAKE(スリースターズパンケーキ)〉のほかに、新しいカフェを開きたいと以前から考えていて。ただ、イートインを主体とする店舗では、コロナ禍が続く限り、「皆さんぜひ食べに来てくださいね!」と大々的に宣伝することもできないので、テイクアウトや通販に特化したお店を考えていました。

そこで私の頭の中の“将来やりたいことリスト”にあった〈バウムクーヘン〉を第一候補としましたが、リサーチがてらある店舗で焼成シーンを見た時に、古いオーブンを使っていたからか、想像以上に時間と技術が要りそうだと思って一旦ペンディングしたんですよ。

S:私たちの出会いは、スイーツ・パン専門機器などの展示会〈FABEX 2021〉でしたよね。その時はあまりお話しする時間はありませんでしたが、保留にしていた〈バウムクーヘン〉に火が再び灯ったことにはどんな理由が?

T:展示会の終了時間ギリギリで訪問したのでしっかりと見ることはできませんでしたが、御社のブースで焼成シーンを見て、大きな衝撃が走りました。それまでバウムクーヘンを焼くには専門的な知識や職人技術が必要だと思い込んでいたからです。

御社のオーブンは高度な技術を必要とせず、約60cmのバウムクーヘンが一度に最大6本焼き上がります。さらに、クーヘンをカットして袋詰めした状態で1カ月間冷凍保存しても品質に影響がないと知り、“人時生産性”の観点からも魅力を感じました。「次の事業はコレだ!」と決めてからは脇見もせず突っ走りましたね。

オーナーTさん(前列・中央)と店長Nさん(同・右)を中心に若手の社員が活躍し、活気にあふれている

S:展示会が昨年4月で、弊社で行われた商談会〈繁盛提案会〉のご参加が6月、店舗のオープンが今年4月と考えると、確かにトントン拍子で進んでいきましたね。不安に感じることはありませんでしたか?

T:今回のプロジェクトに対してではありませんが、私は元々製菓について勉強していたわけではなく、パンケーキの道に進むと決めてから独学でお菓子づくりのノウハウを身につけたので、そこに対する不安があって。

でも御社で行われた焼成トレーニング研修に参加し、製菓のプロフェッショナルである御社のメニュー開発者とお話しした時、材料のことや、今後メニュー展開を考えるうえでの注意点など、事細かに教われたのはもちろんですが、それまで正解を確かめようがなかった自分の知識や技術の答え合わせもでき、自信が持てたと思います。

スタンダードを極め、個性あふれる
“最先端のバウムクーヘン”も展開

S:焼成トレーニング研修にメニュー開発者がつくのはレアケースで、今回は全く新しい味わいと食感のバウムクーヘンに挑戦したからです。メニュー構成についてはTさんの並々ならぬ熱意を感じました。

T:バウムクーヘンショップを経営しようと思うと、高額の資金はもちろんですが、広い敷地も必要ですし、首都圏ではあまり見かけない業態です。そういう意味ではここらのエリアで“唯一無二の存在”です。さらに私は“最先端のバウムクーヘン”をここから発信したかったんです。

S:と、言いますと?

T:世間の人が持つバウムクーヘンのイメージってほとんどアップデートされていなくて、“古き良き焼き菓子”のままですよね。だからこそ、アレンジの可能性は無限大でオリジナリティーが表現しやすいと思っています。誰も真似できず、MYSTAR BASEにしかない商品を販売したいと考えていたところ、御社からチーズや卵白を使ったバウムクーヘンを提案してもらいました。

ただ、パンケーキの材料と似ていて斬新だとは思いましたが、「せっかくチーズを使うなら、チーズの味をもっと引き出せないか」と、何度もリテイクをお願いしましたね。

本来は配合も確定しているはずの焼成トレーニング研修の時点でも「生地に入れるはちみつの量を減らしたい」「このレシピはMYSTAR BASEだけのものにしたい」など私のこだわりが炸裂したもので、御社の藤波社長と衝突しましたっけ(笑)。でも私の性格上、妥協できないんですよね。

S:あの後、私もメニュー開発者も今回の契約が破談になるのではないかとヒヤヒヤしましたよ(笑)。でも、そのこだわり抜いたバウムクーヘンは現時点ではまだ店頭に並んでいないようですが?

看板商品〈スフレ スタンダード〉

T:今は当店の看板商品〈スフレ スタンダード〉を極めていきたいと考えています。

以前Sさんに御社のオーブンを導入している店舗をいくつか案内してもらい、〈ラ・コリーナ近江八幡〉でクラブハリエのバウムクーヘンを食べた時、見た目こそオーソドックスですが、味わいも口あたりも、それまで食べてきたものとは一線を画していて「まさに理想だ」と思いました。

その一種類だけで勝負しているところにも憧れ、私もまずはお店の代名詞である“究極のバウムクーヘン”をお客さまに味わってほしいと思っています。

S:〈スフレ スタンダード〉は弊社が開発した基本配合で作られていますが、厳選された銘柄の卵やバターを使っていたり、グラスのかけ方も他店と違っていたり、お店の個性が表現されていますね。〈スフレ スタンダード〉以外の商品も一風変わっていて気になります。

〈ベイクド カマンベール&チェダー〉
ミニバウムを使った生ケーキは4種類ラインアップ

T:この周辺はトレンドに敏感な若者が多いですし、これまでのバウムクーヘンのイメージを覆す、という意味でも、ミニサイズのスフレ スタンダードを土台とした生ケーキや、チーズが香るザクザク食感の〈ベイクド カマンベール&チェダー〉、余り生地を活用した〈ワレセン〉といったニュータイプの商品をそろえています。

そういえば〈ベイクド カマンベール&チェダー〉の開発の時も、チーズの配合量に注文をつけたり、仕上げのグラスの種類を変えてもらったりと、御社に何度か試作をお願いしましたね(笑)。

スイーツで街を盛り上げて地域に恩返し

S:貴店の商品はどれもこれも目新しいものばかりで、試作している時もうまく焼けずに失敗が多くて。開発チームと「ああでもない、こうでもない」と頭を抱えることもありましたが、苦労した分、今日商品が陳列されているのを見て感じ入りました。

でもこのプロジェクトの途中で第三回の事業再構築補助金が採択されなかったと聞いた時は、正直オープンの初日をこうして一緒に迎えられるとは考えられませんでした。何がTさんを突き動かしましたか?

T:武蔵小杉の再開発が進んだのはごく最近のことで、まだまだ発展途上の街です。先述の“将来やりたいことリスト”の中には「武蔵小杉をスイーツの街にして、地域を活性化したい」という夢があります。

原宿のパンケーキ店で修業して独立する時に、偶然が重なってこの街で〈3STARS PANCAKE〉を開業しました。そんなお店も地元の人に愛されて5年が経ちます。新参者を受け入れ、育ててくれたこの地域を、スイーツで盛り上げて恩返ししたいんです。

これを達成するために、乗り掛かった舟を降りる選択肢はありませんでした。第三回はダメでしたが、第四回で無事に承認が下りて、命拾いしたなと思いましたよ(笑)。

S:私より年下の若手経営者ながら、その芯の強さには毎度驚かされます。ちなみに、将来やりたいことリストにはほかにどんなものがありますか?

T:現在の課題である生産効率を向上させ、MYSTAR BASEの規模をもっと大きくするためにも、将来的には工場を構えたいと思っています。また、川崎市には強豪のプロサッカーチームがあるので、例えばコラボスイーツを販売するなどして、チームの応援と地域経済の発展に貢献したいです。他にも、パンケーキやバウムクーヘンだけでなく、さまざまなスイーツ店を市内に展開したいですね。

オープン初日の様子
韓国インテリアを基調とした店内
19時まで営業し、通勤・通学で前の通りを行きかう人の憩いの場に

S:工場となれば、弊社顧客の工場見学をアテンドしますよ。それにしても、オープン初日の今日は行列ができて昼過ぎには完売し、素晴らしいスタートダッシュでしたね。

T:こうなることは想定内です。3 STARS PANCAKEの影響も大きいように思います。そちらのお客さまもたくさんいらっしゃったので。

慣れるまでしばらくは早めに売り切って、残りの時間をバウムクーヘンの焼成やストックにあてたいと思っています。

S:ストックが大切ですからね。では最後に、これからバウムクーヘンビジネスを考えている人にメッセージを!

T:私から言えることはただ一つ、バウムクーヘンビジネスはやらない方が良い(笑)! これは「生半可な気持ちで挑戦すべきではない」ということです。新しいビジネスに希望を持つことは良いことですが、初期費用はかかりますし、継続して売り上げ目標を達成するには相応の努力が必要です。確固たる意志や強い想いがある方は、不二商会の門を叩いてみてください。

S:バウムクーヘンビジネスを検討している方に向けた商談会〈繁盛提案会〉で、弊社の藤波が口を酸っぱくしてお伝えしていることですね。 さて、本日、4月5日にグランドオープンを迎えられましたが、これからが正念場です。MYSTAR BASEが繫盛店になるよう、私も全力でサポートさせていただきます! 本日は貴重なお話しを、ありがとうございました。

PHOTO GALLERY

ゾーニング、搬入・試運転

バウムクーヘンを焼くにあたって必要な給・排気システムや、働き手が動きやすい厨房動線を設計。機器の搬入や試運転なども責任を持って現場で指揮します。

ロゴ、パッケージデザイン

ブランディングのコンセプトに沿ったロゴやパッケージ。クライアントから要望があれば、店舗のコンセプトの立案から見せ方・売り方まで提案しています。

現地指導

機器の搬入日や店舗のオープン日に合わせ、当社のスタッフが厨房に入り、現地で製造オペレーションの指導や焼成トレーニングを行います。